2010年04月20日

『語学力ゼロで8カ国語翻訳できるナゾ』水野麻子



−「語学力」などというあいまいなものではなく、対象を徹底的に絞り込むことの意義を理解していただけるのではないかと思います。(p42)

mizuno.jpg


かなり人気の高い本のようです。
著者は産業翻訳者。自分がいかにして翻訳家となり、仕事をこなしているかが紹介されています。
本人の仕事の処理法なので、記載されていることは具体的です。

これは、タイトル勝ちの本棚と思いました。
著者は、翻訳家としての経験なしでその業界に飛び込みましたが、語学力ゼロというわけではありません。
県立外短は、語学専門の学校で、レベルも高く、もともと素養があったと思います。

翻訳のやり方ですが、これは産業翻訳ならではの作業となっています。
文芸ものとはちがって、実務書類なので、お決まりの表現を押さえておけば、かなり効率が上がるのです。
専門的なフィールドに特化した翻訳になるため、文法の順番さえ理解すれば、8カ国語も可能というわけです。

内容的にはふんふんと読め、間違ったことも誇張も特にないとは思いますが、私には特に新鮮な内容ではありませんでした。
多少なりとも専門翻訳を手掛けたことのある人ならば、程度はあれこそすれ、著者のようないろいろなやり方で翻訳を試みていると思います。
書籍化されたことが画期的なのかもしれません。

また、この本の読者は、翻訳家を目指す人のほかは主婦層なのではないかと思いますが、産業翻訳に特化されている内容のため、ほかの仕事に生かせる内容か、応用が利くかはわからないと思いました。
サブタイトルの「どんなビジネスもこの考え方ならうまくいく」は、ちょっと書きすぎのように感じます。
あくまで産業翻訳を念頭に置いたパターン化のノウハウであり、一般的な翻訳ではないというのが注意点です。
また、これで会話の語学力が上がるわけではないというのも、読んだ人は気づくことでしょう。

逆にいえば、自分の翻訳力に限界を感じ、壁にぶち当たっている人は大勢いると思われるため、そういう人が読むと、勇気と根性が出てくるような本になっています。
「ターヘル・アナトミア」の翻訳の話まで挙げられており、(著者もかなり苦労し、自分を励ましながら頑張ったんだな)と思いました。
posted by Lily at 14:21| 実用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』岩崎夏海



−面白い―とみなみは思った。誰にも相手にされないからこそ、逆にやりがいもあるというものだ。 引用ここまで (p11)

高校マネージャーがドラッカー.jpg


書店や書評欄など、あちこちで話題になっている今ホットな本です。
オリジナルのドラッカーを読んだことがないので、難しいのかな、と思いましたが、全くそんなことはなく、サックリ読み終えられました。

ライトノベル感覚で、野球部のマネージャーみなみがドラッカーの『マネジメント』を参考にしながら、部のいろいろな問題を解決して、甲子園へと向かっていく様子が描かれています。

私も中学時代には「部活のマネージャーは部費(マネー)を管理する人」と思っており、社会に出たらジェネラル・マネージャーなんていう偉いさんがいて驚いた記憶があるので、著者があとがきで述べているきっかけに、同感できました。

ドラッカーのオリジナル文章が、高校生のヒロインが納得できるような形になっているため、理解しやすく、特に理論に対する問題点もないままに、読み終えられました。

ただ、この本に取り上げられたドラッカー理論は、彼の著書『マネジメント』の内容をどれだけ反映しているのか、わかりませんでした。
全て紹介したのか、氷山の一角のみなのか。
なので、この本を読んで『マネジメント』を理解したといえるものなのか、はっきりしません。

実験的な試みの本というのはわかりますが、著者も肩に力が入っているようで、ライトノベルに落としこみきれていない印象も受けました。
みなみは、はじめ『マネジメント』の内容のわけがわからず、漠然とテキストに使おうと思っていたはずなのに、すぐに便利ツールとして応用と実践に使いこなしています。
彼女が的確に、本の一か所を拾いだすのは、少し強引に思えました。
『ソフィーの世界』を読んだ時にも感じた、作者の力仕事的なものがありました。

ライトノベルへのドラッカー理論の導入に強引さが生じるのは、まあ仕方がないとしても、この話がライトノベルかと言われると、首をひねってしまいます。
ストーリー構成はしっかりしていますが、ドラッカー理論第一主義になっているため、話が時折たどたどしくなり、詰めが甘い、予定調和的な箇所が多々見られます。

例えば試合中、エースがピンチになった時に、さりげなく合唱部がアカペラで彼の好きな曲を歌い出すシーン。
静かな感動を呼ぶ箇所ですが、好きな曲、という記述だけでは、読者に不親切です。
曲名は必要ないにしても、元気なノリのいいものなのか、静かな落ち着くものなのか、ちょっとした追加表現があるだけでも、入りこみやすさが違うのです。
こういった、足りない表現が、そこかしこにありました。
なので、ラノベとしてはいい出来とは言えないように思います。

また、著者が「マネージャー」(部活の)と「マネジャー」(管理者)を書き分けているところが気になりました。
それについての説明はなかったように思います。なぜ分けているのでしょうか。
その辺りも、読者にもう少し親切であってほしいものです。

そうはいっても、まっすぐな学生たちが成長していく青春ものなので、感動もあります。
私は3回泣きました。球児2人の泣く場面と、最後の夕紀のシーンです。
電車の中で読んでいたため、ちょっと慌てました。
先日読んだリリー・フランキー『東京タワー』は、誰もが泣ける本と認識しているので、泣いても変にとられないでしょうが、まさかこの本で涙を流すとは思わなかったので、我ながら驚いて、周りにあやしまれないかと、あせりました。

苦手意識がなくなったので、次は元ネタのドラッカー理論を学んでみようと思います。
posted by Lily at 14:14| ビジネス・経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『大丈夫!うまくいくから〜感謝がすべてを解決する〜』浅見帆帆子



それぞれの生活環境で、自分の生活に心から満足して楽しく過ごしている幸せな人、こういう人が精神レベルの高い人です。(p93)

浅見帆帆子『大丈夫うまくいくから』.jpg


サクサクと、すぐに読めました。優しい言葉で読者を励まし勇気づけてくれる本です。
元気に過ごしている人には特に読む必要はなさそうですが、自分がとことん落ち込んでいたり、社会との向かい方に悩んでいる時などに読むと、参考になる考えも見つけられそう。

さらっと書かれており、気持ちの持ち方ひとつで、悩みは無くなるものなんだと思うと気が軽くなります。

あとがきに顔文字「^o^」が書かれているを見たのは、初めて。
ケータイ小説っぽい軽さが出てしまい、少し抵抗を感じましたが、そもそも軽めの本なので、またそれもアリなのでしょう。
posted by Lily at 14:11| 心理学・自己啓発 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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