2010年04月20日

『最後のパレード』中村 克

最後のパレード

最後のパレード
中村克
サンクチュアリパプリッシング


−ディズニーランドに一歩足を踏み入れたとたん、ふだんよりも人に対してやさしい気持ちになれる。多くの方がそうおっしゃってくださいます。じつは入り口にいるキャストがゲスト一人ひとりに魔法をかけているのです。“目を見て・ニッコリ・こんにちは”たったそれだけの、簡単な魔法です。その魔法が、誰もが持っている純真無垢なやさしい気持ちを呼び覚まします。(p77)

中村克『最後のパレード』.jpg

横浜読書会(リーラボ)での推薦本。
盗作疑惑により、出版停止(廃版)になった本なので、書店にはなく、古本屋で見つけました。

最初の「天国のお子様ランチ」の話から、既に涙腺がゆるくなりましたが、この話自体に盗作疑惑がかかっているそうな。
最後の「娘のいないテーブル」と、かなりシチュエーションが近く、一緒の話で締めているのかと思いました。

TDLを訪れた人が、そこで働くキャストから受けた、いろいろな親切な出来事が綴られています。
どれも心温まる話で、夢の国であり続けるための教育方針の徹底ぶりが、ちゃんと形になっていることがわかります。

老若男女、いろいろな人がディズニーランドでハッピーな気持ちになっていることがわかり、まだ行ったことがない両親を、私も今度連れて行きたいと、強く思いました。

ただ、徹頭徹尾、TDLのスタッフ教育成果を広く伝えようとする内容なので、ここまで自社礼賛的なのであれば、薄い冊子にして園内で無料配布してもいいのでは?と思いました。

この本を読んだら、誰でも心が温かくなり、幸せな思いをしにディズニーランドに行きたくなるので、特にTDL好きの人には必読の本だと思います。
やはり、出版という形で利潤を目指さず、園内無料配布を私は推します。
周り回って、TDLを訪れる人は増え、全体の利潤につながるでしょうから。
posted by Lily at 14:10| ビジネス・経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『真夜中の五分前 five minutes to tomorrow side-B』本田孝好



−僕はこれからも色んなものを失っていくだろう。けれど、僕はそれらを一日の小さなかけらの中に集め続けるだろう。小さなかけらはやがて結晶となって、僕を形作ってくれるだろう。(p189)

本田孝好『真夜中の五分前』.jpg

A-side、B-sideって、なんなのでしょう。
主人公は変わらず、単にAから2年後の話となっています。
その2年のうちに、主人公はまた恋人かすみを事故で失っていました。
愛した女性の二人とも事故で死んでしまうとは、不憫です。

事故の時、妻は双子の姉かすみと入れ替わったのではないかと疑う、ゆかりの夫。
話は一気に混沌としてきます。
親も間違う一卵性の双子。何でも話し合ってきた二人。
主人公が会っても、かすみかゆかりか判断が付きません。
おそらく生き残った当人も、得がたい半身を失って、自分がどちらなのか、わからなくなってしまったのかもしれません。

エンディングにはビター色が強く、最後のまとめ方がよわかりませんでした。
5分間の鎮魂歌ということでしょうか。
村上春樹色を感じるストーリーですが、伝えたいことがよく汲み取れなかたのが残念。

失われた愛と失った自己、そして世間からずれた5分間に、ひたと目を向けられるようになった主人公のかすかな成長が、希望を感じさせる終わり方でした。
posted by Lily at 14:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『真夜中の五分前 five minutes to tomorrow side-A』本田孝好



−そろそろ終わりかけていることは僕にもわかっていたし、たぶん祥子にだってわかっている。あとはどちらが被害者になって、どちらが加害者になるのか。その役を割り振るだけだ。(p19)

本田孝好『真夜中の五分前』.jpg

初めて読んだ本多孝好作品です。
AもBも薄いので、すぐに読めるかと思いましたが、思ったよりも読了に時間がかかった本でした。

6年前に恋人が事故死しで以来、女性と付き合っては別れを繰り返している主人公。
といっても、死んだ恋人を引きずっているわけではなさそうです。
仕事もそつなくこなすのに、クールで情熱が感じられない彼。
名前が最後まで語られないのは、深い意味での主体がないことと一致するように思います。

女性遍歴を重ねて、新たに知り合ったのは、一卵性双生児のかすみ。
彼女の、妹ゆかりの婚約者への叶わぬ思いを知った時、彼も、隠しこんでいた死んだ恋人への気持ちがあふれだしてきます。

愛に傷ついた者同士が互いに癒し合うエンディング。
これでも十分まとまった物語ですが、話はB-sideへと続きます。
posted by Lily at 14:09| 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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