2010年06月10日

『アースダイバー』中沢新一

アースダイバー

中沢 新一
講談社


物事の真の意味はずっと後になって、全体の結果がすっかりできあがったとき、はじめてあきらかになる。(p228)

アースダイバー.jpg


東京の地形を縄文史学的に読み説いた本。
東京の歴史は浅く、江戸から始まるような気がしていましたが、そんなことは全くなく、大森貝塚などからわかるように、縄文期から人々の居住地帯となっていました。
今や、昔の面影がほとんど見られないメガロポリスとなった東京ですが、それでもやはり、江戸時代よりはるかに歴史をさかのぼった、縄文期の名残と繋がって、現在の都市形成が成されているという彼の主張に引きつけられました。

著者中沢新一氏は、宗教学者というイメージが強いため、(なぜ人が地形学的な本を?)と不思議でしたが、都市論の中にしっかりと土着宗教への考察も取り入れており、彼ならではの一冊となっています。
タモリが夢中になったというわけがよくわかりました。

東京近郊に住んでいながらも、長い間苦手意識を持っていた私。それは、超近代的な町並と忘れ去られたような廃墟が一つ所に共存している、ギャップの大きさが理由のように思います。
縄文期について、自分にはとても理解の及ばない、遙かかなたの時代に思えていましたが、有史以前からずっと変わらない土地の上に自分が立っていると思うと、不思議な浮遊感を覚えます。
江戸時代から突如脚光を浴び、栄えだしたこの場所の、それ以前のあり方を想像することで、この街に漂う漠然とした威圧感が少し克服できるような気がしました。

巻末には、Tokyo Earth Diving Mapがついており、沖積台地と沖積低地が色分けされています。
遺跡や古墳、墓地のマークもあり、視覚的にわかりやすくなっています。

この本はとても興味深くて、1週間ほど時間をかけ、じっくりと腰を据えて読みました。
大阪版もあるようです。
私の住む横浜版も出してほしいと思います。
posted by Lily at 16:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 地域研究・旅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。