2014年03月18日

『すぐわかる キリスト教絵画の見かた』千足伸行

「ヴェロニカ」の名前の意味とは・・・



“見る”と同時に“読む”絵画ともいえるが、識字率の極めて低かった中世にあって、キリスト教美術はいわば目で見る聖書、聖人伝であった。 ― 3ページ



西洋絵画は好きですが、ルーブル美術館などに行っても、宗教画コーナーは早足で過ぎてしまいます。
キリスト教の基本知識が足らずに、絵のテーマに含まれたメッセージを汲み取れないことを、いつも残念に思っていました。

この本では、旧約、新約聖書の中で、よく絵画のモチーフに取り上げられるシーンを取り上げ、絵に隠された宗教的意味を解説してくれます。
初めの一枚がバーン=ジョーンズの『天地創造』シリーズ。
天地創造を担当するラファエル前派の美女たちが、一日増えるたびに一人ずつ増えていくといった絵です。
説明がないと、なんのことやらさっぱりわからないところでした。
やはり解説の力は大きいものです。

『放蕩息子』のテーマの絵は、ジェームズ・ティソの「近代生活の放蕩息子より“異国にて”」。
舞台は日本の鴨川べりと思しき茶屋で、芸者遊びに興じる外国人が描かれています。
時代も場所も違っていながら、宗教画のモチーフを継いでいるおもしろさ。

知らなかったこともありました。
ゴルゴタとは「されこうべの丘」という意味だとか、十字架を運んだのは、たまたまその場に出くわしたシモンという男だったのが、悲劇性を高めるために、絵ではキリスト自身が運んだことになっているとか。
キリストの真の顔(ヴェラ・イコン)という言葉から、「ヴェロニカ」という女性の名前が生まれたとか。

「ピエタ」とは、マリアがキリストを膝の上に抱いて嘆き悲しむ様子を指すもので、膝の上に乗せていない絵は、ピエタと言わないそうです。

キリストは「昇天した」と言いますが、聖母マリアは「被昇天」といいます。
彼女は人間だから、「天に上げてもらった」と、受け身的表現をとるとのこと。
被昇天聖母教会などありますが、キリストとの違いには気がつきませんでした。

聖人の絵も多数紹介されていました。
自分の斬られた両乳房を盆の上に持つ聖アガタは、「サロメ」並みの怖さがあります。

また、邪教のシンボルである竜を退治する「聖ゲオルギウス」は、布教を象徴する人物とされ、キリスト教に改宗した都市は女性の姿であらわされるそうです。
ところが歴史的根拠のない聖人として、カトリック教会は崇敬を認めていないそう。

わかりやすく、読みやすい解説で、キリスト教宗教画への苦手意識が薄らぎそうです。
ほかの「すぐわかる」シリーズも読みたくなりました。
posted by Lily at 01:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 芸術・文化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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