2014年03月19日

『クラバート(上)』オトフリート・プロイスラー

少年は自由と引き換えに、魔法を手に入れた。



「人生には、俺達の思いも及ばないことがいろいろおこるものだ。
が、それをおれたちは切り抜けていかなくちゃいけないんだ。」(p135)





子供の頃に馴染んでいた『大どろぼうホッツェンプロッツ』や『小さい魔女』の作者です。なつかしい。

舞台は18世紀のザクセン地方。
物乞いの少年クラバートが、夢に導かれて(というか半ば強制的に)村人が寄り付かない水車小屋に行き、そこで住み込み修行を始めます。
親方のもとで働く、どこかなぞめいた11人の粉挽き職人たち。
見習い期間が明ける頃、彼の置かれた不思議な状況が少しずつわかってきます。

親方と徒弟は、実は魔法使いと弟子たちで、水車小屋で働く傍らで、弟子は魔法を教わります。
粉挽きも魔法で行っていますが、効かない時にはなかなかの重労働。
はじめにそうした話はなく、見習い期間明けにそのままの流れで魔法の契約を結ぶということに、「聞いてない!」と反抗する弟子も出てきそうなものですが、そうしたもめごとは起きていない様子。
誰もがクラバートのように、やむにやまれぬ状態で訪れたのでしょうか。
それとも、すでに親方に魔法で操られているのでしょうか。

自分から魔法使いになりたいと願ったわけではなく、たまたまその弟子になった彼ですが、魔法を覚える代わりに大きな代償を払うことになります。
それは、自分の命は親方に握られるということです。
どんなに逃げても、決して逃げられない状態。
毎年大晦日には、12人のうちの誰か一人が死を迎えるという恐ろしい契約。

ドイツらしい重みのある作品。暗く謎めいた物語世界に引きこまれます。
posted by Lily at 18:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 童話・伝説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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