2014年03月18日

『本の読み方 スロー・リーディングの実践』平野啓一郎

そんなに急いで、なにを読む?



端的に言って、速読とは「明日のための読書」、
スロー・リーディングは「5年後、10年後のための読書」。(p35)




速読やフォトリーディングの効用が説かれる中で、あえて流れと逆流しているかのようなスロー・リーディングの勧め。
著者は、芥川賞受賞者の作家。
速読が効果的なのはビジネス書で、文章そのものを楽しむ小説には適さないものだと思います。

著者は文章に誇りを持つプロの作家として、読み飛ばしのようなイメージのある速読に物申したいのでしょう。
現代の読者は、速読コンプレックスに陥っていると言い放ち、心血を注いで書き上げた文章を読み飛ばすな、とまっすぐ主張します。
言っていることは正論ながら、その舌鋒の鋭さにたじたじになります。

「速読家の知識は単なる脂肪である。」
「何の役にも立たず、ムダに頭の回転を鈍くしているだけの贅肉である。」など。
そこまで言わなくても、と思いますが、プライドを持って書く側にとってはそこまで腹に据えかねる風潮なのでしょう。

忙しい日々の中で、スキマ時間を活用して効率的に本を読むための速読。
スロー・リーディングはきちんと読書の時間を設けて楽しむもの。
それぞれの読書環境が、少し違うように思います。

著者の作品は未読ながら、文中のテキスト『葬送』の抜粋はとても難解でした。
そうした本は、誰も速読できないと思いますが。

言葉を変え、表現を変えて著者が説くのは、「量より質」ということ。
たしかに多読よりも、少しの本を読み込んで深く理解する方が自分の実になっていきます。

自分のものとすることで、血になり肉となっていく本の情報。
たしかにスピーディな速読では、読後に内容についてあれこれ考える時間が省略されているようです。
読書は浅く広くではなく、狭く深く。

読み込めず、頭に入らない時はもちろんのこと、一度読んだ本は再読して内容確認を心がけようと思いました。

ちなみに、この本に登場したリリーディング(読み直すこと)という言葉を、ブログ名に使っています。
ロラン・バルトも大江健三郎も、リリーディング推奨派だそうです。
posted by Lily at 19:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 実用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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