2007年04月22日

『悪女入門―ファム・ファタル恋愛論』鹿島 茂



Femme Fatale:恋心を感じた男を破滅させるために、運命が送り届けてきたかのような魅力を持つ女(ラルース大辞典)
誘惑のアーティスト

ファタル:命取り

○ アベ・プレヴォー『マノン・レスコー』
悲運に耐えようとする健気を装う女
信じたいと願う男の気持ち(=愛)を巧みに操る
宗教家に似ている:どちらも現実よりも幻影を見させる術に長けている
ファム・ファタルに入れあげた男がたどる定番コース
○ メリメ『カルメン』
ドン・ホセ「女と猫は呼ぶと来ないけど、呼ばないと近寄ってくる」
マノン型とは正反対の悪魔性
つねに血の池地獄の危険と背中合わせ

○ デュマ『椿姫』
19世紀まで、フランス中流以上の娘と青年の恋愛結婚は、原則的に認められていなかった結婚:家と家の結びつき、お金とお金の結合
フランスの恋愛文学:傑作はすべて人妻と若者の不倫小説
『クレ−ヴの奥方』『赤と黒』『谷間の百合』『ボヴァリー夫人』
『若きウェルテルの悩み』『ロミオとジュリエット』式、ボーイミーツガール類の若い男女の恋愛なし
女性は結婚して初めて恋愛を許された存在
上流社会における既婚夫人の恋愛を制度的に支えていたもの:サロンと社交界(monde)
夫:demi-monde(裏社交界)に出かける

社交界(monde)のパスポート:美貌・才気『ゴリオ爺さん』のラスティニャック
demi-monde(裏社交界):金
マルグリット:demi-mondaine(高級娼婦) ルール違反のアルマン
「ああ!わたしたちは大急ぎで幸福になろうとしました。まるでいつまでも幸福でいることはできないのを見抜いていたかのように」
amour venal(金銭を介した恋愛)に生きる女が、金ではなく愛を受け取った瞬間、男はオム・ファタルとなる
プロの女性にとってのみ、オム・ファタルは存在する

○ プルースト『スワンの恋』
不安と希望の入り混じった探索の過程で、オデットを完全に所有したいという排他的な感情:恋
嫉妬は愛より長生きする
真実への情熱は嫉妬よりも長く続く
女はすべからくミステリアスであるべし

「男をひきつける女の魅力とは美貌でもスタイルでもましてや心でも頭でもない。男がかくあってほしいと願う女に自分を重ね合わせる変身能力、これこそが女の魅力である。」

<印象>
そもそも、悪女とファム・ファタルは根本で定義が異なるのでは?
『マリ・クレール』『FRaU』連載ということで、多少プラスアルファ的な進め方
読みやすい反面、入門書の域を出ない→気になる人は、さらに詳しい本へ
posted by Lily at 23:33| 文学研究・評論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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