2010年05月14日

『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦

夜は短し歩けよ乙女

森見 登美彦
角川書店


−学園祭とは青春の押し売り叩き売り、いわば青春闇市なり!

『夜は短し歩けよ乙女』.jpg


古めかしい言葉による青春ドタバタラブコメディ。
静と動との化学反応。
摩訶不思議な作品世界に酔いしれられます。
私の好きなお店、進々堂がラストシーンに登場して、嬉しくなりました。
偽電気ブラン、一度は飲んでみたいものです。

引用:
・私は期待でパチンとはじけそうになりました。

・「なむなむ!」
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2010年05月10日

『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』塩野七生



−何かを成し遂げようとする者は、決して金銭を軽蔑しない(p.132)

ロマンチックなタイトルに惹かれて、前から気になっていた本。
実際には、題名から連想されるような修辞的な物語ではなく、感傷を省いた乾いた文章で、淡々と記される記録文のような作品です。

作家の視点はチェーザレ寄りながらも、贔屓目に陥ることもなく、彼の一生に関する事実の記録を目的として作られたように感じられます。
この本をまとめるにあたって、かなり根気が要る文献調査を行ったことでしょう。
ただ、ところどころに彼女の意見が盛り込まれていたり、想像で補われたりしているため、全てを真実ととらえるべきではない気がします。
あくまで歴史書ではなく文学なのです。

初めの「剣」に関する記述は情緒的でしたが、「優雅なる冷酷」についてはあまりピンときませんでした。
文学ではあっても、物語性をおさえた文献の一つとして読み込むことができる歴史ものです。

引用
「あらゆることに気を配りながら、私は自分の時が来るのを待っている。」(p.218)

「竜に一人一人食われていく」状況では、ただ一つしか方法はない。
自分が食われる前に、その竜を食うことである。(p.199〜p.200)

女からは常に何か教えられる(p.116)

奇襲は、常に最高の戦法である(p.172)

ただこの二人には、その精神の根底において、共通したものがあった。自負心である。
彼らは、自己の感覚に合わないものは、そして自己が必要としないものは絶対に受け入れない。
この自己を絶対視する精神は、完全な自由に通ずる。
宗教からも、倫理道徳からも、彼らは自由である。
ただ、窮極的にはニヒリズムに通ずるこの精神を、その極限で維持し、しかも、積極的にそれを生きていくためには、強烈な意思の力をもたねばならい。二人にはそれがあった(p.184)

しかし、イタリアの統一は、チェーザレにとっては使命感からくる悲願ではない。
あくまでも彼にとっては、野望である。
チェーザレは、使命感などという、弱者にとっての武器、というより寄りどころを必要としない男であった。
マキアヴェッリの理想は、チェーザレのこの野望と一致したのである。人々のやたらと口にする使命感を、人間の本性に向けられた鋭い現実的直視から信じなかったマキアヴェッリは、使命感よりもいっそう信頼できるものとして、人間の野望を信じたのである。(p.247)
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2010年05月06日

『ネバーランド』恩田 陸



−「今夜はクリスマス・イブだ。世界で一番自殺者の多い日だ」(p38)

ネバーランド2.jpg


<expression>
「これまで自分の生活の語彙になかった世界が、不注意で破ってしまった壁紙の下からいきなりべろりと顔を出したみたいだった。」(p109)

「降る雪を見ていると、なんだか不思議な気持ちになる。遠い過去の自分に引き戻されていく。白い闇の向こうに、違う時間の流れる別の国があるような気がする。」(p130)

「こうやって空見てると、だんだん足とか背中とかもぞもぞしてこない?」
「くる」
「なんだかこう、青空の中に落っこちていきそうな気がする」(p175)

「三人は真面目くさった表情で、賽銭のように一枚ずつ手に持ったはがきをポストに投げ入れた。手紙をポストに入れる瞬間は、いつだって安堵と後悔が背中合わせになっている。手紙を手から放したとたん、その二つは心細さと開放感にとって代わる。」(p213)

「俺、自分が光弘と同じ立場にいたら、あんなにきちんとした人間になってる自信ないなあ。きっとぐれるパワーすらなかったぜ。完全に人格破壊されて、生きてるんだか死んでるんだか分からない幽霊みたいな。無気力で刹那的な人間になるしかなかったような気がする」(p257)
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