2007年10月05日

『いつか記憶からこぼれおちるとしても』江國香織



あたしたちにとって、ママというのはお金と安心を両方持った親友なのだ。

ママの考えることはときどきよくわからない。これはあたしが子供すぎるのではなくて、ママが年をとりすぎているのだと思う。この二つはおなじじゃない。全然違うことだ。だって、もしなにかをわかるのに年をとりすぎているのだったら、その人はもう、永遠にそれがわからないのだ。これはとてもかなしいことだ。(−テイスト オブ パラダイス)


<印象>
意外にあっさりとした内容。さりげないシンプルな表現。
山田詠美『放課後の音符』風。
オチは特に必要ないものか?
posted by Lily at 11:48| 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月31日

『一角獣』小池真理子

一角獣

小池 真理子
角川書店 2003


タイトルと表紙の清冽さに引かれて手に取った本。
短編よりも短い、掌篇小説集。短い物語の一つ一つに中年男女の濃密な愛の関係がぐっと詰められている。
この人の作品に触れるのは初めてだけれど、表現や言葉の使い方がとてもきれいな作家だと思う。
静かな時間の流れる作品集だけれど、この作家独特の愛憎の凄みは小品であろうと変わらず、恐ろしいほどの重さに圧倒される。
作家本人は、タイトルの『一角獣』が会心の作とのこと。
静かな心の揺らぎと、生と死と愛が見事に描写された作品なので、判る気がする。
私個人的には最初の、ひたすら静かな作品が気に入った。
posted by Lily at 18:28| 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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